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一艦船ファンが観た「男たちの大和」 [軍艦]

映画「男たちの大和」を観てきました。

既に書いたように、その1/1実物大セットを見に行ったこともあり、戦艦大和がどのようにスケール感をもって描かれているかが最大の注目点でした。

私は一艦船ファンにしか過ぎませんので、映画としての評価はいっぱい映画を見ている方がなさるでしょうからここではそれには触れません。人様が長い時間をかけた仕事に対して、一回見たくらいであれこれいうのは無粋だし失礼ですしね。ここではいかに大和が再現されていたかについて書いてみたいと思います。まだご覧になっていない方は、この先はご覧にならない方がいいかも・・・

 ①大和のスケール感はどうか

最大の注目点はこれです。1/1の実物大セットは有名ですが、これも本物の全長263mのうちの190メートルと、完全な再現ではありません。さらに、中央部は左舷のみの再現であり、シンボルとも言うべき男性的フォルムの艦橋は司令塔より上は無い。これをいかにスクリーン上で違和感無く再現するか。特にあの「鉄の城」的象徴の艦橋をどう表現するか・・・・・

端的に言うと、「素晴らしい」の一言でした。セットで再現できない部分は、大和ミュージアムの1/10スケール模型を撮影して使うと聞いていましたが、それ以外に1/17.5スケールの艦橋も作成したとか。加えて、1/35の全体模型も制作したそうです。それらをフルに使っての撮影は功を奏していたと言えます。

特に艦橋部は、実際の写真で見ても感じ取られるようなボリューム感に溢れ、「ああ、こんな大和を見たかった・・・」と、艦船ファンなら誰もが夢に見る総天然色の大和を見ることができます。冒頭、新兵が乗艦してきたところ付近では艦上をなめるように写すシーンが多数出てきますが、これも船としての大和のスケール感を出すのに好演出。実際に大和が存在しているかのような錯覚を覚えました。

タイトルバックで波を蹴立てて走る大和を正面から見たシーン。感涙モノです。そして、沖縄特攻発進直前、有賀艦長からの訓示シーンで、艦首から見た姿。現代に残る同型艦「武蔵」の同アングル写真そのもの。これがカラーで見られます。嬉しさもひとしお。

他、艦橋から艦首を見た航走シーン。確かに大和は走っています。タネを明かすと、この波は護衛艦「ひえい」のものを撮影して合成したそうですが、そうと感じさせないボリューム感は大したもの。

 

②時代考証はどうか

これについては、早い段階でいきなりダメージを受けました。沖縄特攻の前に有名なレイテ沖海戦を戦う大和が出てくるわけですが、そこで考証に誤りがありました。

1/1セットは大和最終時のものを再現しているのですが、その特徴として二番砲塔上に25mm三連装機銃が二基、左舷に張り出す形で同じく三連装機銃が5基装備されていますが、レイテ沖では前者は無し、後者は2基のみとなっています。

が・・・・ レイテ沖なのに最終時のものになっていました。これは明らかなミス。かなり詳細な時代考証に基づいて製作されたはずの映画なのにこれはどうしたことか・・・ やがて出るであろうDVDでは修正されていることを期待します。そのくらいCG修正でどうにでもなるでしょうし。

第二に、中村獅童演じる内田二曹がレイテ沖で負傷することになる場所ですが、司令塔脇にある機銃スポソンの上になにやら怪しい望遠鏡のような細いT字型の機械スポソンのところでした。しかしこの案山子みたいな機械は何??? こんなの今まで見たこと無いんですが・・・・ 機銃射撃式装置にしては小さい。望遠鏡にしては位置に疑問があります。誰か教えて欲しい・・・

 第三にこれはセリフで気がついたのですが、反町隆史演じる森脇二曹が、「俺のお袋と妹は枕崎にいる」と言っていたこと。枕崎とは鹿児島の枕崎のことですが、原則として九州出身者は長崎佐世保を母港とする艦に配属されるのが通例だったと思います。となると、呉を母港とする大和に配属されるのはちょっと疑問。森脇二曹の出身が鹿児島であるという前提の話ですが、まぁおそらく森脇二曹の墓を枕崎に設定することから出た映画としての伏線なのでしょう。あまり深く突っ込むのは野暮かもしれません。

第四に、沖縄特攻時に機銃スポソン後ろに「やまと」とひらがなで書かれた紅白に色分けされた浮き輪が壁に固定されていました。これは史実!? 浮き輪があったことは考えられますが、この色合いはどうにもリアルさに欠けるように見えました。史実であったとしても、これは外しても良かったように思います。

最後に、沖縄特攻前に士官がガンルームらしいところでこの出撃の意味について議論を交わす場面がありますが、出向前に可燃物を荷下ろししていたはずなのに、なぜかそこには木の椅子がいくつも!! これも史実!? 私が良く知らないだけかもしれません。

 

③戦闘シーンはどうか

実物大セットの関係から、どうしても左舷機銃座あたりのシーンばかりにはなっていましたが、機銃のボリューム感や薬莢の質感や散らばり方など、戦場の雰囲気はかなり出ていたと思えました。また、これまでの大和映画にあったような、機銃がまるでロケット砲のように線を引く不自然さはなく、確かに記録映画で見るような銃弾表現となっており、そういった意味でのチャチさは無かったように思います。CG技術を非常に有効に使っていたといえるでしょう。

圧巻なのは敵機の質感。これは特筆すべきものがあるでしょう。1/10の模型を使ったとのことですが、リアルさはかなりのもの。最大の見せ場は、沖縄特攻で大和が攻撃を受ける場面ですが、ここでは主にF6Fヘルキャットによる機銃掃射での攻撃が目立ちました。実際、この出撃で大和の防衛力を殺いだのは戦闘機による機銃掃射であったという生存者の証言があるように、これでもかと機銃要員をなぎ倒していきます。文字通り「なぶり殺し」状態。護衛機のいない艦がいかに無力であることを露呈してはばかりません。この演出はなかなか良かったのではないかと思います。

一方で、左舷に集中していたという魚雷攻撃の当たりがイマイチわかりにくかったことと、後部からの大火災という事実が伝わりにくかったように思えます。魚雷ってあたってたっけ? と思えるような少なさ。その分爆撃の多さは強烈。「セットよくもったなぁ・・・」と心配してしまうような爆発ぶりでした。もちろん合成なのかもしれませんが、炎もCGで作ってしまう映画が多い中、そんな作り物ではない凄みが感じられました。

欲を言えば、次第に左に傾いていく痛々しい大和の姿をもうちょっと出してくれればよかったと思います。ワンカットだけありましたがもうそれは最期の寸前でした。

圧巻だったのはまさに断末魔の瞬間。あの巨大な艦橋がぐらーっと傾いてきて、乗組員は甲板を滑り落ちる、そして艦は転覆。ほぼ逆さまになった状態で大爆発をします。この一連の流れは、海底に横たわる大和の現状を検証していてわかったことですので、それを正確に網羅していてナイスでした。

 

④護衛艦はどうか

最大の不満はここにあったといえるかもしれません。大和のほか、軽巡洋艦「矢矧」の他、駆逐艦「雪風」をはじめとして全9隻が随伴していたのですが、その姿がほとんど描かれていません。知らない人が見たら、大和が単艦で出撃したかのように思えてしまう。

出てきたのは、かなり左に傾いた状態の大和の右舷に矢矧っぽい艦がいたように見えたシーンと、轟沈したあとのきのこ雲のそばに2艦、そして大和乗組員救助に向かってきた陽炎型っぽい駆逐艦がいたこと。せめて、大和艦橋のシーンで、「矢矧沈没!」と見張り員が伝えるシーンくらいはあってよかったのではないかと思いました。各艦それぞれに奮戦して、すごいエピソードも残しているくらい善戦したので、この扱いはちょっと残念でした。

 

・・・といったところでしょうか。たった一度見ただけで思いつくままを書きましたが、一艦船ファンとしては、総天然色の実物大大和を見れたということがなんとも言えず幸せでした。艦船ファンなら誰もが見たいと思っていた姿が見れます。これだけで私は満足でした。

映画としては、邦画らしく泣き所満載でしたね~ なかなかいい映画だったのではないかと思います。蒼井優ちゃんもかわいかったし(^^;)

やがてDVDが出ると思いますが、ぜひこれにはメイキングシーンをたくさん収録して欲しいものです。あと、直すべきところも直してね(^O^)


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コメント 3

Yamamoto-Hitachi

私も観に行きたいのですが、忙しくて年内は無理みたいです。
by Yamamoto-Hitachi (2005-12-24 10:53) 

AURA

>Yamamoto-Hitachiさま
コメント&niceありがとうございます<(_ _)>
邦画は人知れず終了していることが多いですから、劇場公開スケジュールはしっかり押さえておいたほうがいいですよ~
といっても、邦画は比較的DVDのリリース早いですから、あんまり心配いらないんですけどね(^^;)
ちなみに、私は気に入ったカットが多かったのでキャプチャしたいのでDVDは購入決定です。
by AURA (2005-12-25 20:57) 

映画ファン

機銃の一斉射撃のシーンがありますが銃尾切断器等を考えるとできたかどうか謎です。監督はあの「北京原人」の監督なのでうーん。
by 映画ファン (2006-12-16 06:23) 

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